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4.记忆研究という視座と研究方法

ドイツの文化学者アライダ·アスマンは、战争体験者の退場により、 験者たちの 験記忆が将来的に途绝えていくのを防ぐためには、直接個人によって伝えられる「個人的記忆」から「集合的記忆」へ、そして「口頭によって伝えられ、通常三世代を び付けるコミュニケーション的記忆」から、「規範的なテクストによって支えられ、時代をこえていく文化的記忆」 [24] へ、という移行が必要だと主張している。しかしまたこの移行には、常に危険がつきまとう、として、次のように指摘している。

文化的記忆が自然に生成することは決してありえないので、それはメディアと政治に依存している。個人の生きた記忆が、人工的な文化的記忆へと移行することは、確かに問題を孕んでいる。なぜならこの移行は、記忆の歪曲、縮減、道具化といった危険を必然的にもたらすからだ。それに伴う公の批判、反省そして議論によってのみ、記忆のそのような狭隘化と硬直化を食い止めることができるのだ。 [25]

安川晴基は、ヤン·アスマンが1980年代末に提唱した「文化的記忆」というコンセプトを次のように 括している。「文化的記忆という概念が要 しているのは、各々の社会、そして各々の時代に固有の、再利用されるテクスト、イメージ、儀礼の 体である。それらを「保つ」ことで、各々の時代の各々社会は、自己の像を固定させて伝える。つまり主として過去に関する(しかしそれだけではない)、集团によって共有された知識のことであり、その知識に依拠して集团は自らの 一と独自性を意識する」と述べている。本書においては、主にドイツの文化学におけるヤン·アスマンとアライダ·アスマンによる記忆研究「文化的記忆」の概念を理論的枠組みとして用いる。したがって、本書は村上文学研究であると同時に、「文化的記忆」研究の实践的な考察でもある。

本書は三つの方面から行う。

第一に、各作品に描かれた战争や植民地の記忆に直接注目し、それらを取り出して、表象面を分析する。「ノモンハン」、「満蒙開拓」、「新京動植物園」などの「記忆」を取り扱う際、歴史研究における成果を参照した上で検討する。歴史の实像を確实に把握することは、基本なのである。村上文学での「記忆」は、どこが「事实」に基づいたものか、どこが芸術的なフィクションかを明らかにする。そして、フィクションとしての物語のどの部分が歴史の原形から生まれたかを分析する。考察する際には日中両方の歴史研究の成果を参考にする。そして、テクストでの「記忆」と関連する各 態の「記忆」を適宜に取りまとめ、詳しく対比する。具体的には、「満蒙開拓民」の 験談、证言、他の文学作品における「記忆」を例として、村上文学での「記忆」の特徴を掴む。想起する時にはかならず忘却が伴うという「記忆」の特性があるので、語られた「記忆」を取り扱う際には、抑圧された「記忆」の存在を重要視する必要もある。つまり、「記忆」の空白、あるいは、語れない、語り切れない「記忆」が、対比の作業を通して明らかになってくるわけである。具体的には、村上春樹文学における「記忆」を、日本人「満蒙開拓」 験者の证言、「満洲国」 験者としての中国農民による证言、小説『伪满洲国』 [26] 、小説『静かなノモンハン』 、これらの异なる 態の「記忆」のテクスト群の中に入れることにより、村上「記忆」の特徴を明確にする。もちろん、この段階の対比分析では、村上文学での「記忆」が正解か錯誤かといった 論は出せない。本書では、主な研究対象となる作品『ねじまき鳥クロニクル』と『1Q84』は、いずれも隠喩性の高い作品なので、「記忆」を取り出しての表象面の分析だけでは、村上春樹文学での「記忆」の意味を 論づけるのは、まだ尚早である。この段階での分析の目的は、主に二つある。一つ目は、村上文学における「記忆」の一部分の特徴を明らかにすることである。二つ目は、村上文学による「記忆」も含めての、関連する各 態の「記忆」のテクスト群を提示することによって、現在における文化的記忆の現状の一端が見えてくることだと考えられる。

第二に、村上春樹文学における战争や植民地の記忆を、作品全体構造のなかで解 する。本書で取り扱う村上作品は隠喩性が高いので、従来の回想録、战記物語、リアリズムの作品などとは异なり、歴史的事件が主な筋にはならない。「記忆」が挿話として語られたり、仄めかす程度で暗示されたりする、謎めいた物語となっている。物語の深層構造のなかでは、「記忆」は「記忆」以上の意味が付与され、重層的な意味を持ち、メタファーとしての役割を果たす場合が多い。したがって、「記忆」を作品全体のなかで分析しなければ、物語のモチーフを解明できないし、最 的に作中の「記忆」が記忆の時代=現在に対して持っている意義がわからなくなる。具体的に、井戸、リトル·ピープル、月が二つ見える世界、皮剝ぎの象徴的な意味を重要視し、物語のモチーフとの相互関係のなかで「記忆」の役割を分析する。各作品のモチーフの继 性と変化、「記忆」の叙述の変化を明らかにさせる。社会的コンテクストを意識しながら、「記忆」を内包した作品の社会的な意味、そして、このように語られた「記忆」は現在に何の影響を与えられるかを検討する。 qlbGpnqfrO5m/uE0O+zKhj0Buo1TR9c8+g8lu9OQhjLkiH0yCxMA0WF0pirpGEno

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