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本章では、村上春樹文学における中国に関わる「記忆」の系譜を概観した。まず、上海(『風の歌を聴け』、「トニー滝谷」)と「満洲」(『羊をめぐる冒険』、『ねじまき鳥クロニクル』、『1Q84』)という記忆の場によって分類し、それぞれの作品の「記忆」を析出した。そして、登場する中国人が战争の記忆を背負っている作品(「中国行きのスロウ·ボート」、『アフターダーク』)について、物語の隠喩的な意味と「記忆」の関係性を捉えて論じた。このようにして、村上春樹文学における「想起の空間」の全体像が概ね見えてきた。「記忆」と関連する物語から、「記忆」をめぐる物語という順に、「想起の空間」がしだいに深化していくプロセスがわかるようになった。ほかにも、中国が題材とされてはいないが、「記忆」への強い意識が込められている作品がある。例えば、『海辺のカフカ』(新潮社、2002年)もまた、战争の記忆と深い関わりを持つ長编作品である。そして、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋、2013年)は、多崎が、過去の事实に囚われ、その事实の整理に挑む姿を見せる物語である。個人的記忆についての物語だが、集合的記忆へ延長して むことは可能である。本書では、これらのテクスト間のネットワークを解析し、村上春樹文学における「想起の空間」の全体像と、そこにおける個々の中国に関わる战争や植民地の記忆の意味を明らかにしていく。次章からは、『ねじまき鳥クロニクル』と『1Q84』を対象にして、具体的に他の异なる 態の記忆(证言や文学)を参照しつつ、村上春樹文学における「記忆」と対比して、分析していく。

[1] 藤井省三『村上春樹のなかの中国』(朝日新聞社、2007年、pp.60-61)参照。1998年8月5日、洪金珠による村上春樹インタビュー「村上春樹的靈魂裡住著中国印記」が『中国時報』に掲載された。村上は「僕自身もふしぎなのですが、小説に登場するのがなぜ 国人ではなく中国人なのか。僕はただ僕の記忆の影を書いているだけなのです。中国は僕にとって書こうと思って苦心して想像するものではなく、「中国」は僕の人生における重要な「記号」なのです。」と述べている。

[2] ジェイ·ルービン著、畔柳和代 『ハルキ·ムラカミと言葉の音楽』新潮社、2006年9月、p.219。

[3] 川村湊「“新世界”の わりとハート·ブレイク·ワンダーランド」『村上春樹スタディーズ02』若草書房、1999年、p.251。

[4] 柴田元幸、沼野充義、藤井省三、四方田犬彦编『世界は村上春樹をどう むか』文藝春秋、2009年、p.235。 p8AYHXnC9bXGorTWTojXuUiFYLFPx+M/g/8vJdtvklrD6YFFO8MQDei79sIdd3cN

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