グリム兄弟 Bruder Grimm
楠山正雄訳
むかし、むかし、あるところに、ちいちゃいかわいい女の子がありました。それはたれだって、ちょいとみただけで、かわいくなるこの子でしたが、でも、たれよりもかれよりも、この子のおばあさんほど、この子をかわいがっているものはなく、この子をみると、なにもかもやりたくてやりたくて、いったいなにをやっていいのかわからなくなるくらいでした。それで、あるとき、おばあさんは、赤いびろうどで、この子にずきんをこしらえてやりました。すると、それがまたこの子によく似あうので、もうほかのものは、なんにもかぶらないと、きめてしまいました。そこで、この子は、赤ずきんちゃん、赤ずきんちゃん、とばかり、よばれるようになりました。
ある日、おかあさんは、この子をよんでいいました。
「さあ、ちょいといらっしゃい、赤ずきんちゃん、ここにお