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3 タダシと なか たち

‘ねえ、 にい さん、ちょっと、 みち がちがうよ。 だい がく かってる!’

ヒロは、 ぶん きたいほうに はし っていないことに がつき、 うん てん するタダシに こえるように、 おお きな こえ でいった。

‘ああ。ちょっと、 だい がく わす れものをしたんだ。すこしよるだけさ。’

タダシは、 ぶん かよ だい がく けて、バイクを はし らせていった。

サンフランソウキョウ こう だい がく

タダシは、 けん きゅう しつ のあるビルの まえ に、バイクをとめた。ヒロは、しかたなく、タダシの あと つづ いた。

タダシから いてはいたが、ビルの なか さい せん たん けん きゅう しつ だった。ヒロには、 はい るものすべてがおもしろそうで、きょろきょろしている。

‘へえ~、さすが、 にい さんの けん きゅう しつ には、 あたら しい かい がそろってるね。これは スリー ディー プリンターでしょ?それも、あらゆる ざい つく れる さい しん のだ。それに、あのカッターはセラミック せい ?やっぱり、すごいなあ。’

タダシは、ヒロが かん どう している よう を、うれしそうに ている。

‘ちょっと!そこ! あぶ ない!’

こう そく バイクに った おんな が、タダシとヒロの まえ を、ものすごいいきおいで つう してとまった。 おんな は、 こう そく バイクからおりると、それをかるがると ちあげ、 けん きゅう しつ かべ のラックに っかけた。

‘すっごい!それ、 でん サスペンションだよね!’

ヒロはおどろきながら、 さわ りたそうに をのばした。

おんな は、 くろ いヘルメットをぬぐと、ヒロに いた。

‘あんた、だれ?’

‘ああ、ぼく、タダシの おとうと のヒロです。’

ヒロはあわてて こた えた。

‘ヒロ、ゴー・ゴーだ。 けん きゅう しつ なか さ。’

タダシは、ヒロに しょう かい した。

‘この でん サスペンション、すごいですね。’

ヒロがそういうと、ゴー・ゴーはうれしそうに、 ぶん 自転 じ てん しゃ こう りん まわ してみせた。

‘ああ、これね。ゼロ てい こう なの。だから、すごく はや はし れる。でも、 はし れるだけじゃだめなんだなあ。まだ、ぜんぜん 使 つか えない。’

ゴー・ゴーはそういうと、 しゃ りん をはずして、ごみ ばこ てた。そしてヒロの まえ で、 スリー ディー プリンターのスイッチをおし、 あたら しい しゃ りん つく りはじめた。

けん きゅう しつ では、 さい しん せつ がいつでも ゆう 使 つか えるようになっているらしい。ヒロは、 そう ぞう していたよりも、 だい がく けん きゅう しつ がおもしろそうに おも えてきた。

ブーン!

ひろ けん きゅう しつ かた すみから、とつぜん おお きな おと こえてきた。そっちを ると、 きん にく しつ おお がらな おとこ が、けんめいに ひん てている。あいさつをしようと ちか づくと、 ちゅう されてしまった。

‘お、おい、 ちか づくな。その せん よりさがってくれ!’

ヒロが あし もとを ると、 ゆか しろ せん かれている。ヒロたちはうしろにさがった。

‘よう、ワサビ! おとうと のヒロを しょう かい するよ。ヒロ、こいつが、ワサビだ。 ぶつ がく せん こう なんだ。’

ワサビは、とてもきちょうめんで、 どう じょ も、 ぶん ぎょう する も、 なに もかも めている。一センチでもずれると、いやなのだ。

‘おれさまには、 められた ほう そく があるんだ。これはここに、あれはそこに くんだ。’

ヒロは、ワサビが 使 つか いこなしているレーザー ゆう プラズマを て、 かん どう しっぱなしだ。

‘あっ、これ、 りるわね!’

ゴー・ゴーが、ワサビの つくえ うえ いてあった こう をさっとうばった。

‘こら、 なに するんだ!おれさまの しろ から 勝手 かっ て っていくなよ!ああー、おれさまの つくえ うえ をめちゃくちゃにした!おれは、 こう をちゃんと めた しょ いていないと けん きゅう できないんだぞ!’

ワサビは、 しん けい しつ おこ りだした。

‘だいじょうぶ。すぐ、きれいにして かえ すから。’

ゴー・ゴーはそういうと、ワサビの こう ぶん ぎょう はじ めた。

そこへ、 けん きゅう しつ なか 、ハニー・レモンがもどってきた。

ハニー・レモンは がく やく ひん 金属 きん ぞく 使 つか いこなして、 なか やく つものを つく ろうと けん きゅう している。

この けん きゅう しつ では、タングステン・カーバイド、ロバルトなどの きん ぞく ざい じゅん され、 ゆう 使 つか えるようになっていた。

ハニー・レモンは、 がく やく ひん はい ってマシンのタッチパネルをうごかして、ケミカルボールを つく っている。その はきらきらしていて、 たの しそうだ。

だい がく けん きゅう しつ のふんいきも、ヒロが おも っていたよりも、 ゆう だった。

‘みんな、ニックネームなんだけど、ぜんぶ、フレッドが かんが えたんだよ。’

タダシが、 せつ めい しているところへ、 かい じゅう のきぐるみ 姿 すがた のフレッドが た。

‘やあ、やあ。おれはフレッド。 大学 だい がく のマスコットさ!’

あいさつを わすと、ソファーにどすんとすわり、 まん ぼん みはじめた。

フレッドは がく せい ではないが、 がく マニアで、 とく べつ だい がく けん きゅう しつ への りがみとめられていた。

タダシは、ヒロの なか をおして、 ぶん けん きゅう スペースに れていった。そして つくえ しからガムテープを りだし、すこし りとると、ヒロの うで りつけ、バリッとはがした。

‘いてっ!!’

ヒロは、タダシがいきなりテープをはがしたので、 おお ごえ をあげた。

にい さん、 なに するんだよ! いた いじゃないか!’

タダシは、にやっと わら った。

けい こく おん り、 のすみにあった あか はこ のフタが ひら き、 しろ なに かがふくらみはじめた。まるで ふう せん のような しろ いものが なか からでてくると、ヒロたちの まえ あゆ みでた。

‘ワタシは、ベイマックス。 いた みを かん しました! いま から、あなたの いた みをスキャンします。 いた みは、十 だん かい だと、どれくらいですか?’

ベイマックスは、 ぶん むね ゆび さして いた。

むね には、 ひと かお ひょう じょう あらわ した が、十 かびあがった。にっこりした がお のマークから、つらそうな かお つきのマークまである。

ヒロがあっけにとられていると、ベイマックスがヒロの 症状 しょう じょう をスキャンする。

‘これは、ただの、すり きず ですね。’

ベイマックスは、 から しょう どく えき をヒロの うで にふんしゃしていった。

‘さあ、よくがまんしましたね。アメをあげましょう。’

‘これが、おれが いま んでいるロボットなんだ。ハイパースペクトルカメラをとうさいし、チタンとカーボンファイバーでできている。四百五十キロくらいのものを ちあげることができるんだ。’

タダシいわく、あらゆる やし かた がプログラミングされているらしい。

りょう する あい が、『 まん ぞく した。』というと、ベイマックスの にん は『 しゅう りょう 』になるんだよ。 ていて やされるだろ?’

‘うん。マシュマロみたいなロボットだね。’

タダシが、ちょうどベイマックスの はなし えたところへ、 どう きょう じゅ のバート・キャラハン きょう じゅ がやってきた。

‘やあ、タダシくん、ずいぶん けん きゅう すす んでいるようだね。おや、この は、きみの おとうと かい?たしか、ヒロくん?’

‘はい、キャラハン きょう じゅ おとうと のヒロです。’

タダシが しょう かい すると、ヒロは かる きょう じゅ におじぎして、ポケットから、 ぶん ちい さなロボットを りだした。

‘どれ、 せてもらうよ。’

きょう じゅ は、ヒロの さく ロボットを けとり、じっくりたしかめている。

‘ほほう、なるほど。これは、 でん ベアリングサーボかな?’

‘そ、そんな、 かん じです。ロボット・ファイトで 使 つか うんです。’

ヒロは、 ずかしそうに こた えた。タダシの どう きょう じゅ は、 かい てき なロボット こう がく がく しゃ で、ヒロは ぶん のロボットを てもらえるとは、 おも ってもいなかった。

‘うん、これはすごい。とてもよくできている。うちの むすめ もロボット・ファイトにあこがれてたよ。タダシくん、きみの おとうと さんはとても こみがありそうだ。ヒロくん、この だい がく への にゅう がく かんが えてみないか? こん の、 けん きゅう はっ ぴょう かい さん してみてはどうかね?ぼくの ひょう たか ければ、 にゅう がく きょ しょう をあげるよ。ロボット・ファイトより、 かい えるロボットをここで つく らないか? しょう らい たい しているよ!’

キャラハン きょう じゅ は、めったにそんなことをいう人ではない。 あに のタダシは、あらためて、ヒロの のう りょく がすごいのだと かん じた。

きょう じゅ は、にこりと わら って けん きゅう しつ をでていった。

‘ヒロ、ロボット こう がく かい てき けん きょう じゅ が、あそこまでいうのはめずらしいんだぞ。おまえ、 ほん して、 けん きゅう はっ ぴょう かい にでたらどうだ?ロボット・ファイトで らしていくより、 らい えるロボットの けん きゅう をしたらどうだ?’

ヒロは、 だい がく なんてくだらないと おも っていたが、 きょう じゅ にはげまされ、タダシにもいわれて、 けつ した。

にい さん、ぼくも、ここで べん きょう したい。 だい がく はい るには、どうしたらいい?’

きょう じゅ はな してた けん きゅう はっ ぴょう かい でうまくやれば、 はい れるよ。’

タダシにそういわれ、ヒロは、 けん きゅう はっ ぴょう かい おう するために、 いそ いで だい がく うけ つけ はし っていった。

タダシは、 むね をなでおろした。ヒロはずっと、なんのために きているのか まよ っているようだった。やっと ぶん もく ひょう つけられたのかもしれない。

しかも、 ぶん おな みち あゆ んでくれると おも うと、タダシはうれしくてたまらなかった。 りょう しん おさな いころに くしてから、タダシは、ヒロの ちち おや がわりとして ごしてきたからだ。

‘ああ、やっと、ヒロが ぶん ゆめ つけたようだ。 とう さん、 かあ さん、 まも っていてください。’

その から、 けん きゅう はっ ぴょう かい けて、ヒロは ひっ にアイディアを りはじめた。

‘うーん。キャラハン きょう じゅ が、 こし をぬかすくらいのロボット……。どんなのがいいのかなあー。うーん。 だい がく にいれてもらえるだけの、すごいのが なに かないかなあ。ああ、なんにもいいアイディアが かばない。’

ヒロは、 つくえ まえ にすわり、パソコンとにらめっこしている。 しゅう ちゅう して かんが えてはみるが、なかなか、おもしろいアイディアを おも いつかない。

‘ねえ、 にい さん、ぼく、わからなくなっちゃったよ。’

するとタダシは、ヒロをさかさにして、こういった。

‘じゃあ、こうして あたま をふってみたらどうだ?アイディアがこぼれてくるかもしれないよ。いや、いや、それは じょう だん いま までひとりで つく ってきたものの しき を、 いち まとめてみるんだ。おまえなら、きっとできるよ。みんなが、どんなロボットを ひつ よう としているのか、あせらずに、よく かんが えてみるといい。’

タダシは、ヒロの かた をたたいた。

‘ちがう ほう こう から、ものを るんだ!ヒロならできる。’

‘そうだ!’

ヒロは、ロボット・ファイト よう のロボットを つめるうちに、ひらめいた。

ヒロは、 いえ のガレージに きこもった。 ちい さいころから、ヒロは、もの づく りが だい きで、すこしずつ、こつこつ あつ めた こう かい いてあった。ヒロはその ひん で、 3 スリー D ディー プリンターまで つく りあげた。

そして、 あたら しくプログラムを なお したり、ロボットの けい さく したりするうちに、あっというまに すう げつ ぎていった。 piRhtd7CXyOHYpLIcgZ15zdC1uASYLXP6TfNlDGP4Zh/g0NEU33+mBELwXD1lu95

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