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2 ヒロとタダシ

バイクは、ネオンがきらめくサンフランソウキョウの まち はし りぬけていく。

もう、だれも いかけてこない。タダシは、ヒロのヘルメットをピシャリとたたいた。

‘まったく、十三 さい こう こう そつ ぎょう したっていうのに、 なに をやってるんだ!いつまでロボット・ファイトなんかやってるつもりだ! きん されたかけごとだぞ!’

あに のタダシは、サンフランソウキョウ こう だい がく ゆう しゅう がく せい で、 おとうと しょう らい しん ぱい している。

ヒロは、 だい がく べん きょう にまったくきょうみがない。 こう こう きゅう そつ ぎょう したのに、 まい にち 、ロボット・ファイトで かね をかせでいた。

にい さんみたいに、 だい がく はあるのかな?ぼく、わからないんだよ。’

タダシは、あきれ がお だったが、 いま はそれどころではない。

‘おっと、 つづ きはあと。こりゃ、まずい!しっかり、うしろに ってろよ。’

タダシは、バイクのスピードをあげ、ビルの あいだ をすりぬけていった。ヤマたちの くるま は、しつこくふたりの るバイクを いかけてきたが、とちゅうであきらめたようだ。

‘うまいこと、まいたかな?’

タダシが あん しん したのもつかのま、 こん あか いランプをつけたパトカーが、サイレンを らして いかけてきた。

スピード はん か、ギャンブルの まりかもしれない。タダシは、バイクのスピードをさらにあげて げようとしたが、 をパトカーにふさがれてしまった。

‘まずいっ!しまった!’

あえなくふたりは、 けい かん につかまった。

‘ヒロ、おまえのせいだぞ。’

タダシは、 おり そと から つめるヒロに もん をいった。 せい ねん のヒロは、 けい さつ ろう にいれられず、 あに のタダシだけが、スピード はん しゃ せん よう りゅう じょう にいれられてしまったのだ。

‘ごめんね。たぶん、キャスおばさんが、 むか えに てくれるよ。’

ヒロは、ばつが わる そうにタダシにいった。

タダシとヒロは、ふたりきりの きょう だい で、 りょう しん ちい さいころに くなり、 しん せき のキャスおばさんに そだ てられた。

キャスおばさんは、 けい さつ からの れん らく けて、あわてて くるま ばしてやってきたらしい。 けい かん は、タダシを りゅう じょう から してくれた。

‘さあ、きみ、 そと で、おばさんが っている。もう、スピード はん なんか、するんじゃないぞ。 こん かい はん せい ぶん いたから ゆる してやろう。’

タダシとヒロが けい さつ しょ からでてくると、 っていたキャスおばさんは、ふたりにだきついた。

‘まったくもう!ふたりして なに をやっているの!けがはない?だいじょうぶなのね?’

‘おばさん、だいじょうぶだよ。’

ヒロが、めんどうそうに こた えると、キャスおばさんは、 おこ りだした。

‘まったく、ふたりとも、 なに かんが えているんだか!おかげで、 みせ はや じまいしなきゃいけなかったのよ。’

おばさんは、ふたりの みみ をきゅっとねじって、ふくれっ つら をした。

さん にん は、 そく どう にとめてあった がた トラックに りこみ、おばさんの うん てん で、 いえ かった。おばさんは、こんなさわぎになったのは、 ぶん そだ てがいけなかったのだろうかと もん とう していた。

‘この十 ねん 、わたしは、ふたりの りょう しん くなったあと、ずっと いく をがんばってきたわ。 いく けい けん なんてないのに、いきなり そだ てることになっちゃった。ええ、 けっ こん する まえ に、 どもを そだ てるなんて、むぼうだったかもよ。それに、かんぺきとはいえなかった。だって……まるで、わたしっていう どもが、 どものめんどうを るようなものだった。ああ、もう、ほんとに、 のかかる たちだわ……。あっ、 いえ についたわ。さあ、ふたりとも、おりてちょうだい。 ゆう しょく じゅん しなきゃ!’

おばさんがひとりで はな しているうちに、 がた トラックは、 いえ とう ちゃく した。

みんなで らしている いえ は、一 かい が『ラッキー・キャット』というカフェになっている。おばさんが けい えい していて、 もと ひと たちに あい されている みせ だ。

もどるとすぐに、 みせ のカウンターから、 おお きなチョコレートドーナツを って、 くち にいれた。

‘あー、おいしい!ストレス かい しょう には、 べるにかぎるわね。それにしても、やっぱり、うちのはおいしいわ。’

ニャー。 っているデブ ねこ のモチが、のらりくらりと、どこかからでてきた。

‘おばさん、ごめんなさい。’

タダシは、おばさんにあやまった。

‘キャスおばさん、おばさんのこと、 だい きなんだ。 今日 きょう はごめんなさい。’

ヒロも、あやまる。

おばさんは、しかたないという かお をすると、 ねこ をだきあげ、二 かい にあがっていった。ふたりも あと つづ き、三 がい にあがった。三 かい にはヒロとタダシの がある。

‘ヒロ、もういいかげんに、 がついてくれよ。’

タダシは、 すこ しきびしくいった。

‘せっかく こう こう をでたのに、ぶらぶらしてばかりでさ。こんな せい かつ をずっと つづ けるつもりなのか? はん せい しろよ。’

タダシは、ヒロの さい のう をよく っている。 もく てき もなく らしているヒロのことが、 ざん ねん でならないのだ。

タダシが しん けん にいっているのに、ヒロは ぶん のロボットを 調 ちょう せい するのに ちゅう で、すぐにまた、でかけようとしている。

‘おい、 てよ。どこへ くんだ?’

タダシが くと、ヒロが こた えた。

まち はずれの、べつのロボット・ファイトに、エントリーしてあるんだ。 いま から けば、まにあうから。’

タダシは、あきれた。

‘こりないやつだなあ。 とう さんと かあ さんが きていたら、なんていうかな。’

にい さん、ぼくにはわからないよ。だって、ふたりとも三つの とき んじゃったんだから。’

ヒロはそういうと、 そと にでようとした。

‘おい、ぎりぎりの かん なら、おれが おく ってやるよ。’

タダシはヘルメットを った。

‘ほんと?’

ヒロはびっくりした。

‘ああ、おまえがでかけるのを、とめたってむだだろう?だけど、ひとりでは かせたくないからな。’

タダシは、ヒロをバイクのうしろに せて しゅっ ぱつ した。

だが、しばらくすると、バイクはロボット・ファイトの しょ とは、ちがう ほう こう しはじめた。 pvixa3X9UPmHLiFHe3bpn5rilIL45XlGbNvFTjmgHd1yWDnOOmJDZB58ypt6TiZH

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